人事・評価制度について

            新しい人事・評価制度が必要です!

人事制度、10の疑問にお答えします。

 1 人事制度の導入で、「成果主義を根付かせ、貫くための厳しい社風を作るべき」か?
 2 人事制度は人を評価し、公平な処遇を決めるものであるのか?
 3 目標管理を導入しないと人事制度は導入できないのか?
 4 資格等級制度は、社員を能力レベルによって格付けするためにあるのか?
 5 評価制度は、公正な給与を決めるために必要であるのか?
 6 評価制度の目的は、出来る社員とダメな社員を見分けることなのか?
 7 評価の平均は、B評価とすべきであるのか?
 8 パートタイマーや派遣社員は、評価しなくてよいのか?
 9 給与制度と経営予算は、関連付けされていないのか?
10 賃金テーブルがなければ、給与制度とはいえないのか?

 ・これからの人事・評価制度、その概要


 はじめに

 これまでの人事制度は、「社員の能力を測定し、その結果に基づいて処遇を決定する」
ことを第一の目的としてきました。大企業の場合には、これで良いのかもしれません。
 しかし、中小企業では、同じような考え方では業績も伸びず、従業員にもヤル気や働き
甲斐が湧き上がりません。そこで、人事・評価制度の基本理念をもう一度考え直す必要が
あります。
 今後は、人を採用することも難しくなってきます。さらに、せっかく採用した若い社員が、
すぐに辞めることなく、勤務を続けてもらうことはさらに難しくなります。

 これからの中小企業に必要なことは、より良い組織文化を作り上げていくことです。
企業の文化、いわば企業のDNAのような社風といったものは、1年や2年では形成でき
ないかもしれません。しかし、弱肉強食、個人責任主義、成果業績第一主義、などと
いった「脅しの人事」としか言いようのない価値観を社内に蔓延させていては良い組織
文化は形成されないでしょう。 これからは人事制度・評価制度もこの企業文化をより良い
ものにするために改革が必要です。
 人が育ち、人が能力を発揮している企業は成長します。明日の企業は「普通の社員の
力」を武器にしている企業、つまり「人を育て、活かす」企業が成長します。

1.人事制度の導入で、「成果主義を根付かせ、貫くための厳しい
  社風を作るべき」か?
 成果主義を否定するものではないが、その活用にはいろいろな問題点を内包して
いるのが現実です。組織に成果主義を正しく運営できる素地が未成熟のままで成果
主義を導入するのは危険です。
 成果主義に内包する危険を知ろう
 成果主義や業績主義などと呼ばれている考え方に基づく人事管理の方法には、
さまざまな危険が潜んでいることを認識しなければなりません。それは、「社員が個
人主義になる」、「短期間の成果しか考えなくなる」、「目標を低く設定して達成度を
高くしようとする」、「人材が育たない」、「ルーティンの業務にはなじまない」といった
ものです。事実、成果主義を導入した企業で働く従業員の皆さんはとても苦労している
話もたくさん耳に入りますし、「虚妄の成果主義」や「内側から見た富士通―(成果主義の
崩壊)」といった批判もあります。これらからは、成果主義そのものが悪であるかの
印象を受けますが、原則的に考えて、成果に基づいて評価し、処遇することに異論は
ないはずです。企業が生き残り、発展するためには成果を出さなければならないのですから。
 ただ、これは個人責任主義に傾き過ぎている
 しかし、現在成果主義として導入し、運用されている方法は、あまりにも「個人責任
主義」に傾き過ぎていることから、さまざまな欠点が噴出しているのではないでしょうか。
この個人責任主義を従業員個々人にまで、能力的および精神的な準備もなく、適用
してしまうのは得策と言えないのではないでしょうか。

企業はチームとして競争しています。もちろんチームの成果は一人一人の成果を
合計したものではなく、それ以上の成果が出なくてはチーム(組織)ではありません。
このチームとしての成果を高めることが一番の重要な課題であって、個人の成果を
第一に云々するのは間違いです。
 たとえば、とても優秀な社員ばかりの企業では個人責任主義による経営が可能で
あると思われますが、現状の中小企業の場合、やはり個人責任主義による評価と
処遇は問題を起こす危険度が高いと言わざるをえないでしょう。
 まずは、「人を育てる」ことから・・・そして成功の善循環を作る
 成果主義、個人責任主義を押し付ける前に、まず「人を育てること」、「人を活かすこと」、
そして社員に「成功体験をしてもらうこと」、さらに「チャレンジ目標を立てること」、という
好循環を生み出す仕組みが必要です。人事・評価制度はその目的を実践するための
仕組みです。

2.人事制度は人を評価し、公平な処遇を決めるものであるのか?
 人事制度は何が目的なのか、誰のためか、その意義、目的をはっきりさせる必要が
あります。
つまり、人事制度の哲学です。哲学のない人事制度は破綻します。明確な意味づけを
行ってから人事制度を作成すべきです。人事制度を、単に給与決定とか、企業業績の
向上といった浅い意味づけで導入していませんか? 人事制度は人を扱うための根幹を
担う制度です。
人を育てようとしているのか、組織の中に個人主義を蔓延させようとしているのか、協力や
思いやりのあるチームを作ろうとしているのか、その底流に流れる思想を明確にしてから
導入してください。
 最近の傾向はあまりにも思想のない制度導入が多いように思います。
 人事制度は社風を作る
 人事制度はその企業の社風を作り上げます。どんな会社にしたいのか、どんな社風が
望ましいのか、どんな価値観で社員に仕事をして欲しいのか、これらを決めて日々の
行動に移す橋渡しをする役目が人事制度です。つまり人事制度では、どのような社員が
望ましいのかを明確にし、その基準に比較して評価することとなるのです。
 人事制度の2つの目的は、(1)人の育成と(2)企業の成長
 人事制度の狙いは、本来「人を活かして企業を発展させる」ことにあるはずです。人は、
企業にとって機械や設備に勝る資産です。経営手法の1つとして、この「人」という巨大な
資産の目を覚まさせ、能力を発揮してもらうことが、企業の発展・成長には欠かせません。
どの企業にとっても社員を育てない企業は衰退の途をたどります。
 人を育てるということ
 人は企業という森に生えている木にたとえることができます。つまり、森に社員という
木が生えていて、その木が小さな実を付けます。その実を利益というカゴに集めると
それが企業利益です。
利益はどこかから勝手に湧き出ているわけではなく、社員一人一人が生み出している
のです。

 「木が育つには太陽の光が必要」
 この木を育てて一つでも多くの実を付けてもらうと、企業利益が増大することとなる
のですから、木が育つ方法を考えることが人を活かすこととなります。そのためには、
木の成長に必要な太陽の光を当てることが必要です。つまり、企業の方針やビジョン、
目標を明確に示すことによって社員の想いを一本化します。 土壌には教育、人事制度、
組織文化という肥料をそして土壌には、社員の教育、人事制度、より良い組織文化の
形成が必要です。人事制度は人を育て活かすための有効な手段です。

3.目標管理を導入しないと人事制度は導入できないのか?
 目標管理制度を導入し、その達成度を評価するという考え方が一般的に取り入れ
られているようですが、目標管理と人事制度を安易に直結させることはおすすめ
できません。むしろそれぞれを切り離して運用すべきです。
 中小企業にとっては、目標管理の導入も人事制度と同様に大仕事です
 多くの中小企業にとって、目標管理の導入は簡単ではありません。まだまだ決算書を
オープンにしていない会社も多くありますし、会社の基本理念や経営方針を煮詰める
までには至っていない企業も多いのです。また、目標管理を始めるには、管理者の
教育も欠かせませんので、中小企業にとっては、目標管理制度を導入することだけ
でも大仕事と言えるでしょう。
 人事制度と直結した目標管理は問題が多い
 一方、目標管理と人事制度、特に評価制度と直結させた場合には、よほど問題の
出ないように社員を教育し、準備しておかないとうまくいきません。この理由は、評価
制度が目標達成度の評価が中心となってしまい、成果主義、それも個人成果主義に
陥りやすいからです。前述したとおり、個人成果主義では、
 個人プレーの蔓延、低い目標設定の常套化、協力性の衰退、などの問題が発生して
しまって、結果的にはギクシャクした組織風土と上下の信頼や経営陣と社員間の信頼が
無くなってしまいます。
 目標管理とは切り離して人事制度を作成します
 このような事態を避けるため、また、目標管理制度が整備されていなくても人事
制度を導入して、「社員を育てる」しくみをつくるために、目標管理とは切り離して
人事制度を導入します。

人事制度と目標管理を切り離す方が得策であると言う理由は他に4つあります。
 「1つ目」は、人事制度の基本的な活動周期は1年間(定期評価の場合)、または
半年(賞与評価の場合)ですが、目標管理の活動周期は、最低でも月に1回は目標
達成度のフォローを行い、目標の設定変更(あまりおすすめしませんが)や行動
計画の変更を行なう必要があります。

 「2つ目」は、目標設定の自由度を高めるためです。つまり、目標達成度が評価の
尺度となる場合にはどうしても目標自体を低く設定したくなりますが、評価と切り離す
ことによって自由な目標設定が可能となります。

 「3つ目」は、評価するためには目標設定は数値目標とすることが要求されますが、
目標管理を評価と切り離しておくと非数値目標も無理なく目標として設定可能となる
ためです。

 「4つ目」は、目標管理では、行動計画が非常に重要ですが、結果を求める傾向が
強い評価制度では行動の重要さを軽視しがちとなります。

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4.資格等級制度は、社員を能力レベルによって
                   格付けするためにあるのか?
人事制度には、資格等級制度(職能資格制度とも呼んでいます)が必ずあります。
 この制度は単に社員を能力によってランク付けするのではなく、社員の成長ステップを
示すものとして設計すべきです。
 単にランク付けのためなら社員にとって意味がない
 一般には、資格等級制度(職能資格制度とも言う)は、社員をその能力に応じてランク
付けするための目的で作成されています。もちろん、人事制度を設計し、導入するため
には資格等級制度は必ず必要な制度であることに間違いはないのです。人を育てる
ために評価する場合でも社員をランク付けしなければなりません。問題はその底流に
流れる考え方です。人をランク付けすることだけを目的に作成した場合、あなたは自分が
何等級か知らされて終わりです。

 あなたは、「会社の都合で等級を決めてるな」、「これで給料を決めるんだろうな」、「上の
等級にはいつ上げてもらえるのかな」、といった気持ちになることでしょう。
 この場合、あなたにとってのメリットは何でしょうか。実は何も無いのです。ただランク付け
されただけです。
 「人を育てる」ための人事制度です。
  ですから資格等級制度で社員の成長ステップを示します
 資格等級制度によって、社員が成長するためのステップを明示することを目的とした
場合、社員は今後何を学習したり、どんな仕事が出来るようになれば上位の等級に
上がれるかが分かるようになります。この上位の等級にはどんな知識や経験、技術が
必要なのかが理解できると言うことは、自分の為すべきこと、成長の方向性が自分で
分かるということです。
当たり前のことにも思えますが、得てして社員は自分の将来の仕事内容、自分の成長
した姿をイメージできていないのが現状です。

 なぜならそんなことはどこにも書かれていないし、どんな期待が自分に寄せられて
いるかも知らされていないのですから。また、中小企業では、将来目標となるような
上司や先輩もあまり居ないのも事実です。
 資格等級制度では、社員の成長した姿、または成長のステップを分かりやすく表現
することを第一義としましょう。

5.評価制度は、公正な給与を決めるために必要なのか?
評価制度の真の目的は働く人たちに働きがいを持ってもらうことです
 評価制度 ― (嫌な響きです)
 たとえば、あなたが会社に勤めている営業マンだったら、あなたが工場で働く作業員
だったら、あなたがレストランで働くウエトレスだったら、どうして「評価制度」と聞いた
だけで嫌な感じがするのでしょうか。それは今の評価制度が社員を評価する、つまり誰が
優秀な社員で誰がダメな社員かを順序付けし、その順序に基づいて給与や賞与を決め
ようとしている制度だからです。
 しかし、このような考え方で人はヤル気をだしてくれるでしょうか。もしあなたが非常に
優秀で、そのことが経営者や上司に認められている場合にはちょっといい気分かもしれ
ません。しかし、もしあなたが平均的な成績の社員だったら、またはあまり出来るとは
言えない社員だったらどうでしょうか。たぶん、「あー、嫌な制度がはじまりそうだなぁ」と
感じてしまうことでしょう。

 人事制度、特に評価制度は、働く皆さんにもっとヤル気を出してもらって企業の業績を
上げること、つまり生産性を上げたり、品質を改善したり、サービスを良くしたり、さらには
安全を確保したりすることにあるはずです。 今までの評価制度の最大の間違いはこの
点にあります。
評価制度は、給与を決めるため、昇給額を決めるため、賞与額を決めるために行うもの
だという基本的な理念に沿って作られていることです。

 評価制度の真の目的をもう一度考え直す必要があるのです。社員が初めて会社に
就職したとき、「この会社で頑張ってみよう」と思ったはずです。そんな社員の気持ちを
大切に育めるような制度に変えていかなければなりません。
 評価制度は社員にヤル気を出させ、働きがいを持ってもらうための制度です
 では、どのように評価制度を変えれば働く人たちにヤル気や働きがいを持ってもらえる
ような制度、それも評価として機能しうる制度とすることができるでしょうか。
 解決策として、「まず、期待する社員の能力と行動を明確にし、その期待に応えてくれた
社員に良い評価を出す」という制度にします。

 「何をすれば評価が良くなるのか」、「どんな能力や努力が自分に期待されているのか」を
期の始めにはっきりさせるのです。いわば試験に出る問題を前もって生徒に教えておく
ようなものです。
すると生徒はその問題だけは解けるようになるのと同じで、社員も期待されていることだけは
実行してくれるでしょう。企業ではそのことが大切です。為すべき事が出来ていない企業が
多々あります。
高尚な評価項目より為すべき項目をきっちり社員が実行してくれるだけで企業の業績は向
上します。

6.評価制度の目的は、出来る社員とダメな社員を見分けることなのか?
 社内で競争させる評価制度ではなく、多くの社員が成長できる評価制度とすることが
重要です。いつも優秀な社員が良い評価で、ダメな社員がダメなままでは「人を育てる」
評価制度とは言えません
 普通の社員を優秀に、ダメな社員を平均になるように育てよう
 ここに20人の社員が居る会社があるとします。その会社に評価制度を導入しました。
この評価制度は、優秀な社員とダメな社員を選別することが大きな目的です。その結果に
よって給与を決めたり昇格させたりします。さて、この評価制度を3年間運用したら、その
会社の社員はどのように変わっているでしょうか。たぶん、もともと優秀だった人は相変わ
らず良い業績を残している
でしょう。しかし、ダメな社員だった人は優秀な社員に変身しているでしょうか。

 この人は競争することを諦めて、低い順位に甘んじる選択をしているだろうと推測できます。
 ほとんどの場合、ダメな社員は評価制度を導入してもその評価制度が「育てるしくみ」と
なっていない場合、やはり相対的にはダメなのです。
 評価制度の狙いは平均的な社員のレベルを上げること
 これまでの評価制度は、優秀な社員を選別して、つまり「誰が会社により多く貢献したか」を
測定することばかりに気を取られていました。そして、結果的にいつも優秀な社員が良い
評価をもらうこととなって、平均的な社員は平均的な評価結果、ダメ社員は低い評価結果に
なっているように思えてならないのです。このような評価制度では、平等に評価されず、どんな
メリットがあるのかわかりません。あたかもホームランが打てない選手に向かって「ホーム
ランを打て。打たないと評価は低いぞ」と叫んでいるだけのような気がします。

 そうではなく、会社や上司はホームランの打ち方を教えなければ、選手は打てるようには
ならないのです。もっと打ち方を教えられる人事制度、つまり育てることを目的とした資格
等級制度や評価制度にすべきなのです。
 明確に必要な能力と努力を示すことが大切です
 上司が部下にこう言ったとしましょう。「君、もっと仕事を効率的にしてもらわないと
困るよ」、すると部下は、「分かりました。そうします。ところで効率的に仕事をするって
どうすればいいんですか」と聞き返しました。このとき、上司はちゃんと答えられるでしょうか。
このときに言える返事がいわゆるコンピテンシーです。「明日使う予定の材料を機械の
横に揃えてから帰れ」といった指示が出れば、それがホームランを打つためのヒントと
なり、行動へとつながります。

 このように成果が上がったかどうかという結果の評価も大切ですが、どうすれば良い
結果が出るのか、そのコツを評価の着眼点として明確に記載し、コツ、つまり努力をしたか
どうかを評価する仕組みとすれば、それは結果そのものではなく、「良い結果を生むで
あろう能力や努力」を明確にすることとなり、平均的な社員やダメな社員の成果が大きく
改善されることが期待できます。
 例えば、営業マンでは「水曜日には次週のアポが20社すべて取れている」などを皆で
実行するような評価制度とすべきです。

7.評価の平均は、B評価とすべきか?
 一般的な評価制度では、S評価はめったに出さない、評価の平均はBであるべきだという
定説があります。社内での競争、順位付け、相対評価のもとでは平均をBとすべきですが、
「育てる人事制度」では、すべての人がS評価となることが好ましいのです。
 人を育てる目的の人事制度であれば、評価の平均をBにしなければならない理由はない
 どうして優秀な社員が増えてS評価がどんどん出てはいけないのだろうか。
どうして評価の平均はB(S,A,B,C,Dの5段階評価の場合)にすることが必要なのだろうか。
この理由を考えてみると、(1)平均的な社員がB評価であるべきであり、そんなに優秀な
社員が多く居たり、D評価が多く居たりするのはおかしい、そして(2)昇給などを計算する
場合、平均がBでないと人件費が予算以上に膨らんでしまう可能性がある、などが考え
られますが、どうも本能的に平均B説が正しいと思い込んでいるのかも知れません。
これは生徒がどう感じているかは無頓着に学校の先生はいつも偏差値で生徒を評価し、
生徒はそれが当然のことと感じてしまい、自分が上の立場に立ったときには無意識に
部下を学校の生徒のように彼らを集団として認識してしまうことから平均B評価説が出て
しまうのではないでしょうか。

 「平均はBであるべきだ」と感じている人は、本当に自分は一人一人の部下を育てよう
としているのか、もう一度自問して頂きたいと思います。

 人に対する優しさや思いやりが無ければ人は真のヤル気を出してはくれません。 
「脅し」で人を動かそうとすれば、人は「騙し」で応えてくることでしょう。「誠意」で当たれば、
「善意」で応えてくれます。人を育てるのは、その人の幸せを願って行うことであるべきです。
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8.パートタイマーや派遣社員は、評価しなくてよいのか?
 パートタイマーも派遣社員も出向社員も我が社で仕事をしてくれている大切な
メンバーです。
 評価を行うことは、会社として正式にその人の頑張りや怠慢に関心を示すことです。
全員の評価をすることが原則です。
 評価が給与に反映できる人だけを評価の対象にするのは間違いです
 企業は、正社員の他にパートタイマーの皆さんや派遣社員も一緒に働いています。
また、親企業から出向してきている人も居るかも知れません。この人たちすべてが
評価の対象になるべきです。評価が給与決定の手段であればパートタイマーの時給は
ほとんど変わらないし、派遣社員は評価結果に関係なく派遣会社との間で決められて
いますから、評価を実施しても仕方ないこととなりますが、評価は仕事に従事してくれて
いる皆さんに関心を持ち、頑張ってくれていれば「ありがとう」と言い、そうでなければ
叱咤激励しなければなりません。

 評価をしないと言うことは、その人に対して会社や上司は無関心であることと同じです。
関心を持たれていない社員がヤル気を出してくれるはずが無いでしょう。誰が考えても
分かることです。
 たとえ給与を上げられなくても、たとえ賞与が出せなくてもそういうことに関係なく評価は
実施しなければいけないのです。

 介護保険から収入を得ている介護ステーションで働くヘルパーの皆さんは、保険から
支払われる時給が変わらないので、ほとんど昇給できないのが実情です。しかし、評価は
行うようにしているところがあります。もちろん評価は利用者の方々へのサービス品質の
維持と向上には欠かせないものです。ここでは、介護のプロとして高レベルなヘルパーを
目指して皆さんが頑張っておられます。
 残念ながらまだ派遣社員を評価している企業には出会っていませんが、ぜひ派遣社員も
評価の対象に加えてもらいたいものです。
 これからはパートタイマーや派遣社員は大切な戦力です
 パートタイマーには、自分の都合ばかりを言う人が多いとか、お金だけが目当てで働いて
いる人が殆どだという話をよく耳にしますが、これは大きな間違いです。パートさんの能力に
期待もしないで、その能力を発揮してもらおうとするのは経営側の身勝手というものです。
これからは今まで以上に重要な職務をパートさんに担ってもらうこととなります。そのため
にもキッチリと評価を行い、期待するべきは期待して、能力を発揮してもらうべきです。

9.給与制度と経営予算は、関連付けされていないのか?
 どういうわけか、給与制度、つまり賃金テーブルは経営計画に基づく人件費予算との
つながりのないまま導入されています。しかし、経営あっての人件費ですから、昇給金額は
許容予算の範囲内で決定すべきです。
 昇給金額は、経営上許される予算の範囲内で決めなければ人件費が経営を圧迫します。
 賃金テーブルと言われる給与制度の根幹をなす制度がどういうわけか企業業績と無関係に
決められる仕組みとなっている企業が多いようです。高度成長時代に毎年右肩上がりで
推移している時代の残骸としか言いようがありません。人件費を昇給する前に経営が大
丈夫かどうかを問題にするべきなのに、人件費は企業業績と無関係に上昇する仕組みと
なっているのですから驚かされます。
 絶対に業績に連動した人件費決定システムを導入してください。
 人事評価の結果、昇給しますが利益が出ていればこその昇給です
 人事評価は毎年行わなければなりません。しかし、昇給できるかどうかは業績次第です。
利益が見込めない状態で昇給や、昇格昇給はできないのです。
 経営には経営計画があり、その計画に沿って経営を進めてゆくことが定石ですから、
この経営計画で人件費の額が上げられるかどうかを事前に計画しなければなりません。
 利益ゼロの計画では昇給ゼロ、少しの利益予想の計画では少しの昇給です
 例えば、10人の社員がいる会社で今期の利益予想は200万円あり、そのうち人件費の
昇給に回せる予算が30万円だとしますと、この会社の社員は評価結果に基づいて公正に
昇給されますが、その総額は30万円です。もし利益が10万円しかなく、人件費の昇給に
回せる予算がゼロの場合にはどんな評価であっても今期の昇給は全員ゼロとなります。
 パソコンを用いて計算をさせましょう
このような計算はパソコンを活用すれば容易に出来てしまいますが、従来の賃金テーブル
では解決できない課題です。
評価結果に基づく能力給の昇給の他に年齢給も設計していれば、年齢給は業績に無関係に
増加させることとなります。

10.賃金テーブルがなければ、給与制度とはいえないのか?
 一般に給与制度を作成すると賃金テーブルが作成されます。
では、賃金テーブルは必ず必要なのでしょうか。実はこの賃金テーブルの存在が人事
制度を難しく、かつ複雑にしています。賃金テーブルは不要です。
 賃金テーブルでは企業業績に見合った昇給額が計算できない
 もはや賃金テーブルの時代は終わったと考えるべきでしょう。
 賃金テーブルの機能は、等級と号俸によって能力給が決められるテーブルであり、この
号俸と人事評価が関連づけされているのが普通です。
 例えば次ページの例に挙げたように、T級5号俸の人がB評価となった場合、この人の
能力給は164,000から3号俸上がって、167,000となります。このように賃金テーブルの
場合、企業業績とは無関係に昇給金額が決められてしまうこととなり、この結果、評価を行う
たびに人件費が膨らんでしまう結果となりかねません。

 また、賃金テーブルでは、年齢が基本で設計されていることが多いことも欠点です。賃金
テーブルに標準年齢が書かれていて、給与額(能力給)と年齢との関係がかなり直結した
関係で表現されている場合が多い。これも年功的に給与を管理しようとする現われです。
 各人の給与は企業業績と本人の実力で決まる制度を作るべきです
 これからの給与制度は、企業業績を反映させることが大切であることは前述しました。
そして、本人の実力によって社員間に差がつく給与にしなければなりません。この2つの
課題を解決できる制度づくりが大切です。
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「人を育て、活かす人事制度」はこのように作ります。
これからの人事・評価制度、その概要
 管理者中心のプロジェクトチームで作ります。
 従来では経営者、総務部そしてコンサルタントの三者で人事制度を策定していました
が、これからの制度作りは管理者と社員で構成するプロジェクトで行います。この方式に
よって企業実態に合った制度作りが出来ます。
 まず、資格等級制度を設計します。
 最初に行うことは資格等級制度づくりです。この制度は、社員の成長段階を示すことを
目的に6ないし8等級にするのが適切でしょう。
 「仕事しらべ」作業を行い、各等級に必要とされる能力を明確化します。
社員が成長するために必要な職務遂行能力を洗い出し、等級別に明確化します。
この作業は職場毎に作成します。
 次は、評価制度づくりです。
 評価制度づくりの最初は「評価要素」の決定です。我が社では何が大切なのか、
どんな社員の努力を評価しなければならないのか、などを明確にします。
「顧客の信頼」、「仕事の速さ」、「目標達成度」などが評価要素となります。
 さらに評価の着眼点を決めます。
 具体的な努力、行動を評価の着眼点として明確に決めます。この作業は、部署別、
等級別に行う必要があり、社員に努力して欲しい行動を誰でも評価出来るような具体的
表現で行います。
 社員の給与実態から新しい給与制度を設計します。
 経営計画または予算から適切な人件費の昇給可能額を決め、その範囲内で昇給
出来るようなシステムを設計します。
 そして評価者訓練です。
 評価者訓練の最大の目的は、部下を育てるために何を指導すべきかを学ぶことです。
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人事制度は難しくすることが良いのではありません。
運用可能かつその企業に適した制度が良い制度です。
完全な人事制度を目指すのではなく、現状60点・導入
主義で、自社に適した人事制度を導入しましょう。
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